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    河野太郎の

    大学の悩み聞きます

     

    東京大学 五月祭

    場所:東京大学本郷キャンパス

       法文1号館 21番教室

    日時:5月21日(日)

       10:00〜11:30

       (09:45開場)

  • イベント概要

    東京大学 五月祭

    NPO法人日本政策創造基盤×東京瀧本ゼミ共催企画

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    河野太郎が五月祭に

    河野太郎

    自由民主党所属の衆議院議員で、現在は、自由民主党行政改革推進本部長。国家公安委員会委員長、内閣府特命担当大臣、自由民主党幹事長代理、法務副大臣、衆議院決算行政監視委員長・外務委員長等を歴任。

    昨年末、大学の研究費について言及し、話題に。

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    モデレーター:瀧本哲史

    東大法学部卒業後、東大法学部助手、マッキンゼーを経て、現在は、エンジェル投資家、京都大学イノベーション・マネージメント・サイエンス研究部門客員准教授。

    主著『武器としての決断思考』

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    大学の皆さんの問題を実際に解決

    大学の皆さんの悩みを事前に募集し、

    NPO法人日本政策創造基盤、東京大学瀧本ゼミとの協力で

    河野太郎が実際に解決に向けて動きます。

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    イベント詳細

    東京大学 本郷キャンパス

    法文1号館(東)21番教室

    5/21(日) 10:00〜11:30

    (09:45開場)

  • 多くのお客様にご来場頂き、大盛況のうちに終えることができました。 誠にありがとうございました。

    当サイトでは当日の報告をさせて頂きます。

  • 1.企画概要

    2002年と2013年を比較すると、大学の研究者の職務全体に占める研究時間の比率は46.5%から35.0%に減少し、今や日本は先進国で唯一、論文数を減少させている国となっています。

     

    この背景には、大学の研究者の置かれている研究環境の悪化があります。例えば、研究者が科研費を獲得するための事務作業の増加などが挙げられるほか、そもそもの研究資金の分配の非効率性、あるいは非合理なルールの存在なども、彼らを苦しめる一因となっています。

     

    このような中、研究状況の改善に名乗りを上げたのが河野太郎衆議院議員でした。河野議員は、科研費獲得のためのフォーマットの改善を皮切りに、文科省の天下りの実態を暴き、さらには日本の研究環境、そして日本の大学経営の大改革を推し進めようとご尽力なさっています。

     

    そこで今回、我々はさらなる大学行政改善のため、大学教授・研究者の方々からご意見を募集し、河野議員に直接提案する場をつくるべく当企画を五月祭にて開催いたしました。

  • 2.当日の様子

    午前中の早い時間帯での開催にもかかわらず、当方の予想を上回り、収容人数200人強の教室がほぼ満席となるほど多くの方にご参加いただき、盛況を博しました。

     

    やや専門的な内容もありましたが、アカデミックで建設的な議論が白熱し、大学関係者の皆様をはじめとして多くの参加者の方々が関心を抱いてくださったようです。

     

    また、当日の活況のみならず、この講演会を迎えるにあたり実に様々なご意見・お悩みが寄せられ、一部の寄稿してくださった大学教授の方にはご登壇までしていただくなど、皆さまのこの問題に対する熱烈な思いをひしひしと感じ、ただただ驚嘆するばかりでした。

     

    ご意見・お悩みに支えられてのこの企画でありますので、ご多忙の中声をお聞かせくださった方々に心より感謝申し上げますとともに、日本の研究の最前線で活躍されている方々の抱えている問題意識が切実であるという現状をあらためて実感し、我々もこの問題に対して真摯に取り組み、何としてでも解決へと導かねばならないという決意を固くする機会となりました。

     

    今後もこの活動を続けてまいりますので、ご支援よろしくお願いいたします。

  • 3.講演会の内容

    ご登壇いただいた河野太郎議員、川口先生、藤原助教にこの場をお借りしてあらためて御礼申し上げます。

    すべてのご意見を紹介したいところではありましたが、時間の都合上数ある寄せられたご意見から、「間接経費の使途」、「大学教員の給与格差」、「運営費交付金の減額と研究力低下について」の3点を取り上げました。

    大学教員の給与格差について

    ご意見を寄せてくださった一橋大学の川口先生が直接ご登壇してくださり、九州大学の大賀准教授との共同リサーチにより作成していただいた資料を基に、河野議員への提言がなされました。

     

    川口先生

     

    「間接経費とは、競争的資金による研究の実施に伴う研究機関の管理等に必要な経費を、直接経費に対する一定比率で手当てすることにより、競争的資金をより効果的・効率的に活用する趣旨で導入されたものです。」

     

    「しかし、私(川口先生)が行った大学教授に対するアンケートから、実態はそれが効果的・効率的に活用されていないと多くの大学教授が感じているということがうかがえます。共通指針には『計画的かつ適正に執行』することが定められていますが、間接経費の使途を研究者に周知していない大学も多く、透明性の確保のもと適切な使い方がなされているとは言えません。資金を獲得した研究者が、研究支援者や非常勤講師を雇う人件費として利用する等彼らの研究開発の負担を軽減するためのものであるはずの間接経費が、研究機関全体の機能向上に用いられ、本来の機能を果たせていません

     

    そこで、私から具体的な案として要望が3点あります。

     

    ①従来不分明であった「競争的資金を獲得した研究者の開発環境改善」と「研究機関全体の機能向上」の用途を厳格に区別し、前者に一定以上の比率を置くこと。

     

    ②競争的資金を獲得した研究者の開発環境改善」においては研究者の研究時間確保のための使途を明示的に認めること。

     

    ③間接経費の使途について定めたマニュアル・方針とその執行実績報告書を公表または配布・周知すること。

     

    河野議員

     

    「国立大学法人への現役出向というのが一つ要因となっているのではないかと思います。実は文科省から直接出向する人のみならず、他の期間を経由して国立大学法人へ移る人工衛星型と呼ばれる人も含めると500人強もの人が現役出向しているようです。

     

    管理部門に現役出向している文科省の役人の裁量で、研究職のことを考えずに間接経費が使われているのではないか。

     

    下からのアプローチとして間接経費の使い方を調べたうえでこういうことに限定して使えと指示すること、上からのアプローチとして独立した国立大学法人に文科省からの現役出向を辞めさせるということをやっていこうと思います。

    運営費交付金の減額と研究力低下について

    学生

     

    「川口先生のツイートが話題になりましたが、例えば一橋の年間給与は634万円に対して、香港科学技術大のオファーは約1600万円。

     

    日本の経済学部教授の待遇が世界基準で見ると悪く、大学教員が給与を一つの要因として海外へと流出しています。

     

    この流れは経済学部に限ったものではなく、例えば国立大学において、日本は年功序列の固定的賃金構造、研究成果をあげた個人に対するインセンティブは少ないのに対し、海外では教員の実績が待遇に反映され、ヘッドハンティングが一般化しています。

     

    国際市場の拡大・競争激化により、あらゆる部門において優秀な人材の海外流出が起きています。」

     

    河野議員

     

    「海外大学の給与は日本の2倍3倍で、雑用からも解放されるといって多くの大学教授が海外に流出している。

     

    まずやらなければならないのは、大学教授の評価が本当に正しいのかということを調査するということです。

     

    東大、一橋、大阪、名古屋、京都等の大学の経済学部の常勤講師以上の人がどれだけ国際的なジャーナルに論文をのせているかという調査を見たら、半分以上の人が一本も論文を出していない。このような人がテニュア持っているのはおかしいと感じ、文科省に経済学部に限らず教授ごとの論文数を調べろと言っているが、なかなか出てこない状況です。

     

    もう一つは国立大学の研究職の給与の公開。評価をされて給与が決まるはずの研究職は給与を公開するべき。

     

    公開された給与を見た大学教授が海外から戻ってくるということにつながるかもしれないからです。その前段階として、論文数に応じた正しい給与になっているのかどうか見るために、名前は伏せて論文数と給与のデータを出してほしいと文科省に申請中です。これは痛みを伴う改革であるが、論文を書かない人に高い給与を払うのはおかしい。

     

    大学のレベルを上げていくためには、その分若手の優秀な研究者に給与を支払うべき。とりあえず文科省にデータを出させるというところからスタートしようと思っています。

    運営費交付金の減額と研究力低下について

    学生

     

    「大学の収益の大部分を支えているのが運営費交付金というものですが、それが年々減少しています。代わりに何が行われているのかというと、革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)という大型プロジェクト投資が実施されています。

     

    非連続イノベーションを目的として5年間で550億円もの予算を投入していますが、その成果は出ていないばかりか、基本的な科学的な手続きを踏んでいるかどうかも懐疑的なプロジェクトが報告に上がっています。」

     

    「では最適な研究投資とはどのようなものか。例えば山中伸弥教授の研究なども当初は周囲の人に理解されていたわけではなく、予算が大幅に減額される可能性もあったようです。このような事例からわかるように、可能性を秘めた研究の選定は現実的に困難であり、幅広い研究に薄く広く投資し、成果の出たものに対して集中的に補助を行うというやり方がよいのではないかと言えます。

     

    また、必ずしも多額の研究費を投下しなければならないというわけではなく、今日いらっしゃっている藤原教授の研究のように、少額の研究費でも十分結果が出せる場合もあります。こういった例を見ても予算の配分というものをもう少し考え直した方がよいのではと思っています。」

     

    藤原助教

     

    「僕自身は競争的資金が悪いと思っていない。しかし大型プロジェクトに投資して成果が出ているのかというのは大いに疑問です。

     

    また、一部の特定プロジェクトマネージャーに巨大な予算と権限を与えるというやり方がはたして正しいのか。広く薄く、自由な発想でやらせてみる環境がなければだめなのではと思います。実際に論文数も減っています。

     

    最初から投資する研究分野を絞ると、それ以外の分野の人々はずっと日の目を見ないということもありうる。もう一度自由な発想でできる環境を取り戻すべきです。」

     

    河野議員

     

    「競争的資金は働かない人と働く人の峻別という意味では役立っているが、それが果たして研究の良しあしを判断することまでできるのか。これは専門家の方に意見をもらいたい。

     

    また、文科省は研究開発と声高に言うが、研究と開発が別物だという意識がない。研究は成果が出るかわからないがやってみるというもので、開発はQCDを決めて必ず達成するもの。聞くとImPACTは研究でなく開発であり、それを研究費としているのはおかしい。

     

    大型プロジェクトが発足すると、その限定的な分野に莫大な予算がつく傾向があるが、その成果の測定は曖昧。大型プロジェクトが本当に良いのかということを評価していくことが必要です。

  • 4.我々のミッション

    日本政策創造基盤はアカデミアと政治を結びつけ、エビデンスを基に政策にアカデミアの知見を反映する事を理念として掲げています。

     

    私たちは多くのヒアリングや調査を重ねた結果、科学的には決着がついている政策、施策は多いにも関わらず、研究者は行政が目を向けてくれないと憂慮しつつも行動を起こせていない現実がある事が判明しました。

     

    我々のミッションはそのような政策において、学術的知見に基づき専門家と政策立案者を結びつけ、正しい政策を実行に移す事です。まさに河野議員がメスを入れた一連の大学の科研費やローカルルールにまつわる出来事は、大学関係者が「政治に言いたくても、言えない」ことが多く存在する事の証左とも言えます。

  • 5.今後の動き

    当企画において、大学関係者の方々のお悩み・ご意見を広く募集し、あがってきたものの中から我々独自でリサーチを重ね、一部の教授にご協力いただきながら、無事河野太郎議員への提言を行うことができました。

     

    しかし大学行政改革を目標とする我々にとって、この提言はゴールではなく、あくまでスタートに過ぎません。

     

    今後は政策実行を目指すというミッションに基づき、河野議員、教授の方々と連携し、提言の内容が政策の場に取り入れられるよう努めてまいります。

     

    進捗は逐一こちらのホームページで引き続きご報告いたします。また、この活動に賛同してくださる教授、研究者、その他大学行政にかかわる様々な分野の方々の意見を募集しております。

     

    大学改革の実現のために、ぜひともご協力よろしくお願いいたします。

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